Case Study

[後編]古民家をこどもたちの笑顔があふれる居場所へ「放課後等デイサービスasoviva」の挑戦

記事の前編はこちらから

[前編]古民家をこどもたちの笑顔があふれる居場所へ「放課後等デイサービスasoviva」の挑戦

記事前編では、田島さんの生い立ちや(株)アソビバの事業内容、こどもたちへの思いについて伺いました。
後編では、建物の改修を中心に伺いました。

まずは、桐生市本町の古民家の建物を選んだ理由を伺いました。

この辺りだったら空き家を活用したいと思っていました。
もともと僕が生まれ育った町で、シャッターが閉まっている状況を見るのは悲しいじゃないですか。
地元への恩返しではないですが、放課後等デイサービスでも、僕がいる事務所でも、なんでもいいから1軒は絶対にシャッターを開けて地域に貢献したいと思っていました。(田島さん)

田島さんが物件を探していた際、偶然にも以前からつながりのあった(株)吉田組が物件を所有していることを知りました。そこで、空き家再生に取り組むUNIT KIRYU(株)がマッチングのサポート役として間に入り、田島さん、(株)吉田組、UNIT KIRYU(株)の三者で、賃貸契約や改修に向けた協議を進めることになりました。
建物は長屋で、田島さんには2区画分を1つの施設として利用したいという要望がありました。調査の結果、区画間の壁は構造上撤去可能であることが判明し、(株)吉田組からも撤去の了承を得たことで、計画は大きく前進しました。
その後、家賃やその他の諸条件についても折り合いがつき、田島さんは物件を借りることを決めました。
しかし、改修前の現場を見た際には、相当頭を抱えたそうです。
改修の設計・施工は(有)宮島工務店に依頼し、プランニングが始まりました。

建物については不安しかなかったですね。
しかし、やってみなければわからない、だれもやってないことをやる、というのが好きなんですよ。やる方法はあると前向きに考えます。
オーナーが吉田さんで、施工するのが宮島さんであれば、両者ともに建築事業者だからどうにかするだろうと思っていました(笑)(田島さん)

(有)宮島工務店の宮島さんに改修工事について話を伺いました。

古い建物のため、解体してみないとわからない点が多々あり苦労しました。
土台が腐っていたり、梁を抜いていたり。あるだろうなと思っていたことが予想どおりあり、補強等の構造検討を重ねて対応しました。(宮島さん)

(有)宮島工務店では、障がいのあるこどもたちが建物を安全、安心に利用できるよう、使いやすさも考慮しながら十分に検討を重ねました。
田島さんから要望をヒアリングしながら、具体的な対策を講じています。
例えば、こどもたちがドアの鍵を開けられないよう、高い位置に鍵を設置したり、柱の基礎にある束石が露出していた部分を囲んで、角を丸く加工したりしました。
また、利用者の身長に合わせて手洗い場の高さを1つずつ変えて設置することで使いやすさにも配慮しました。

天井に露出している古く、太い梁が目を引きましたので、(有)宮島工務店の宮島さんに梁について伺いました。

本当はこの梁が一番困ったところです。
元々既存は下がり壁となっており、当初は配管があるのかと思っていました。
壁を解体してみて、全て梁で大変驚きました。
検討を重ね、最終的には魅せる梁として活かせたのでよかったです。(宮島さん)

(有)宮島工務店の仕事には、田島さんから非常に好評をいただいています。

文句なしですよ。使っていて不便がない。
子供の活動量が大きいので、広さにも満足しています。(田島さん)

建物改修費用として、躯体や外装に関しては(株)吉田組さんが、内装関係は田島さんが費用を負担しました。
内装費用については、既存の銀行からの借入を活用し、想定内の金額に収まりました。
また工事を進めていく中で追加で必要となった、消防設備や外壁の改修費用を(株)吉田組さんが負担してくれたこともありました。オーナーの器が寛大で助かったと胸をなでおろしたそうです。 
(株)吉田組さんとしても、商店街の中に住宅が設置されるのだけは避けたい、人々が賑わう施設としたいという、地域に対する思いがあったそうです。

最後に田島さんからこれから古民家を活用して何かをやりたい方に向けて一言いただきました。

僕は、古民家を使って何かをしようというよりは、やろうとしたところがたまたま古民家だったという感じです。
古民家だから、新築だからということにとらわれず、その場所でやりたいことがあれば、やればよいと思っています。
古民家だと、壁を抜くなどある程度自由度がある点は魅力だと思います。
もし古民家を使って事業をやりたいと考えていて、チャンスがあるのであれば、おおいに挑戦すべきだと思います。使えるものは使った方が良いですよ。
あとは、大家次第ですね。大家が寛大であれば全然問題ないと思います。(笑)(田島さん)

(株)吉田組や(株)UNIT KIRYUの地域への思いに、田島さんの障がいのあるこどもたちへの思いが重なり、さらに(有)宮島工務店の建築技術が加わることで、様々な課題を乗り越えて施設の開設に至りました。
今後もこどもたちの笑顔があふれる居場所として、地域に根付いていくことでしょう。

Contact

古民家を所有している方

空き古民家、どうしよう。古民家の処分(売却、賃貸借)てどうすればいいの?

古民家を活用したい方

古民家を活用してみたいけど、購入?賃貸?どちらがいい?

民間事業者の方

行政、まちづくり会社、不動産会社、設計事務所、工務店、移住コーディネーター等。
コミンカコナイカ事業にチームメンバーとして参画しませんか?